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トイレ近くに追いやられた男は神経質そうに何度も眼鏡をかけなおし、バイトの大学生は落ち着かない様子で空いたテーブルを何度も拭いて回る。
動じていないのは、耳が遠くなった白髪の夫だけだった。
男はひっきりなしに仕事や私用の電話をかけまくる。
「あ、お世話になっております。三木商事の藤木と申します。先日はどうもありがとうございました!」
「あ、翔太?俺俺、拓也」
藤木 拓也
その男の名前をその場にいたそれぞれが心の中で噛みしめた。
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