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その日は霧雨のような細かな雨に濡れる朝だった。
僕は春になったばかりの新人警察官で無駄に気合いだけ入って仕事はてんで空回り、という毎日を送っていた。
署に連絡が入ったのはまさに通勤ラッシュ時のど真ん中の時間帯で、その時は「ついにきたか」と思った。
月曜の朝に多いと聞く人身事故が僕の配属された署の最寄り駅で起きたのだ。
こういう天気が悪い日はとくに心理的にやられるようで晴天の日の二倍、飛び込みが多いと聞いていた。
現場に到着した時はすでに遺体は駅員の手によって線路の脇に寄せられ青いシートがかけられていた。
バラバラになった肉片を集める覚悟はしていたつもりだったが、やはりどこかほっとする。
それでもシートの下を想像し込み上げてきた酸っぱい胃液が口の中に広がった。
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