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不安そうな人々の視線に見守られながら先輩の指示に従い濡れたホームに立ち入り禁止のテープを張る。
事故の影響を最小限にするために、素早く現場検証を終えると“通常運転”に戻す指示を出す。
事故列車の乗務員が駅に戻ってきたところで事情聴取が始まる。
運転士、車掌、そしてホームにいる目撃者たちがその対象だ。
青白い顔をした運転士はまだ若く、もしかしたら僕と同じこの春の新人かも知れない。
事故に遭遇するとトラウマになる人も多いと聞く。
僕は密かに若い運転士に同情した。
ホームにいた目撃者は全員で六人いた。
仕事をバリバリこなしそうな女。
僕はこういう女は苦手だ、なんだか見下されているようで落ち着かない。
それはいいとして、あとは会社員の男二人に大学生の青年、年の差のある夫婦。
同じ年上の女でも僕だったら絶対こっちがいい。
まだまだ色気があるのに、妻というより介護人のような役割をしなければいけない男となぜ結婚したのだろうか。
あ、余計なお世話だった。
そう、その六人と若い運転士はみな口を揃えて言った。
ふらりと飛び込んだ。
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