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最初に得たのは諦観。
諦めればよかった、諦めきれなかった。
幾度も繰り返す世界、身を蝕む既知の毒。
諦めても、絶望しても、失望しても
この繰り返しは終わらない。
ただただ、どうでもいい。
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既視感という言葉を知っているだろうか。
見たことがある光景、したことのある行動。本来ある筈のないソレを、オレは常に感じながら生きていた。己が生まれると同時に、同じように生まれたその既視感。俺はそれを常々、憎たらしく思っていた。
食べる事、寝る事、そして生きる事。この世全てに未知を見出せず、ひどく冷めた心で日々を暮らす。
「一度目」はきっと楽しかった。「二度目」はきっと嬉しかった。「三度目」はきっと満たされていた。「四度目」はきっと困っていた。
元来のオレは臆病者で、一歩を踏み出す勇気が無かったのだろう。一歩と言うのは、時と場合によって多大なる意味を含むものである。
この繰り返す生に当然ながら疑問を抱いた。しかし、他の誰もがオレとは違うのだ。人とは違う己を曝け出した末に、排斥され迫害されるのを恐れた。表面上は楽しい風を取り繕い、一生懸命に周りに合わせて繰り返す生を過ごす。他とは違う自分の生を歩く一歩を、オレには踏み出す事がどうしても出来なかった。
繰り返しているとは言え、自分の生である事に変わりは無いのに。
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