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目を覚ます。記憶が甦る。目の前に広がるのは、神聖さを感じさせる真っ白な空間。此方を覗き込む絶世の美女は、所謂神と言う奴である。
そうだ、オレはこの神の手違いで殺された一般人だった。よくあるネット小説のテンプレート通りに、チート能力を与えられ新たな生を得る事になった主人公である。
どうやら己は寝転がっていた様で、女神を押し退けて起き上がり立つ。自分の体を見下ろして確認すれば、あの繰り返しの生で得た其れと変わりがない。やはりあの繰り返す生は、チート能力を得るための過程だったのだろう。
「どうやら特典は得られた様ですね。」
チート能力を与えるとはよく言ったものだ。与えられたのはチート能力を得る機会であって、決してチート能力そのものではない。しかしオレは与えられた機会を物にした。もはや眼前の女神など小指一つで捻り潰せるだろう。
「私が想像していた以上の力を手に入れた様ですが…兎にも角にも貴方を転生させますね」
そう言い女神は此方に手を翳してきた。新たなる生など望んでいないのだが、しかし嘗ての約定により転生は避けられない。
どの様な形を取り異世界に生誕するのかは分からないが、今生は好きに生きてみようと思う。繰り返しの生を経て、オレは…
「オレは、魔王になりたい!
大いなる災禍として君臨し、それに抗う勇者達の輝きを観たい!
オレは人が好きだ!人の輝きが好きだ!愛していると言って良い!
故に失いたくない!未来永劫残して往かなければならない!
愛しているから殴るのだ!どうか勇者よ!殴り返してくれたまえ!
オレの名は天粕将彦!人類賛歌を万里に響けと謳い上げる魔王である!」
こうしてオレの新たなる生が幕を開けた。
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