再会

9/14
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
お開きになった後、降車駅が同じ和寛が私と一緒に帰ることになった。 「なんか、友恵がすごく綺麗になっててびっくりした」 星空を見上げながら、ほんのりと笑いを浮かべて和寛が言った。 「そんな事言えるようになったんだ」 「俺も、大人になったからね」 今度は私の顔を覗き込んだ。 心臓が激しく動くのがわかり、たまらず俯いた。 「咲、幸せそうだったね」 ごまかすように、話題を振った。 「咲は一番早く結婚するとは思ってたけど、まさかこんなに早くとはな」 「和寛は?彼女いないの?」 あまりに普通に聞けたので、自分でもびっくりした。 こんな質問をしたのは初めてだったからか、和寛は「えっ?」と大きな声を出して驚いた。 「……いないよ。大学はいろいろ忙しかったからなあ。職場はお姉様方ばっかりだし」 「そっか」 タクシー乗り場の列はまばらで、駅まで歩く人もほとんどいなかった。 夜道に二人の足音だけが響く。 数日の間に一気に秋も深まり、カーディガンだけでは寒くて手先が冷えていた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!