再会

自分の過去の気持ちを伝えて、和寛と付き合いたいというのではない。

和寛の目をまっすぐに見て、昔の自分の気持ちを伝えたら、今までの弱っちい自分と決着をつけられる気がした。

このまま彼との結婚を断らなければ、彼に対して一生嘘をつきつづけていかなければならない。

私もつらいけれど、嘘をつかれる彼だってつらいに決まっている。

今までのことは誤って、彼にはきちんとお断りをして別れなければいけない。

現時点では、『彼と別れて和寛と付き合えたら』という下心はなかったけれど、久しぶりに会ってしまったら和寛への思いが再燃してしまうかもしれない、とは思った。

都合よく、自分の気持ちを押しつけようとしているだけなのではないか。

そう思った瞬間、またいつものようにあれやこれや想定して先回りをし始めたが、それではいつもと同じだ。

もう、私は変わるんだ。

過去の自分と別れることができれば、次への一歩も踏み出せる。

心でそう何度も唱えて、咲に出席の返信を送ったのだった。