それから それから

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それから それから

投げ棄てられて、土塀の下でピクピクと痙攣し仰向けになっている狼のおなかを、シャッシャッシャッと浅い太刀で切りさいて、修羅おばあさんを助け出しました。 三途は、その両腕に、気を失っている修羅おばあさんを抱えて、おうちの中に運びます。その背中には雷鳴が轟いて。風は強く、木々はさんざめいています。 「う、うぅ…。」  修羅おばあさんが目を覚まします。どうやら平気だったようすです。 「おや、さんずきん。いらっしゃい。…くしゅん」 「フロ ワカス」 「ありがとう。外は雨だな。ん?なんだあの(おおかみ)は。かわいそうに。」 この狼に食べられたことを覚えていない修羅おばあさんは、庭に倒れている狼のおなかを手当をしました。不思議な、光る糸と針で縫い合わせて、なにやら文字のびっしり書かれた包帯を巻き付けます。狼は、ぱっと目が覚めるともう痛くも痒くもありませんでした。 「よかった、よかった。」 そうして皆でおばあさんのおうちの蒸し風呂に入り、薬草の蒸気をいっぱい浴びました。 狼は、かわいいものを食べてしまいたい気持ちも消えてしまったのです。 「プハー。発泡酒がしみるな。」 修羅おばあさんがご病気というのは、誤報だったのでしょうか。 「あ、あぁ。よく喉や鼻の不調を患ってしまうが、何、たいしたことは無いのだ。 今回も大丈夫だ。皆の者が気遣って色々とおひれがついたのかもしれんな。 心配かけてすまなかった。さあさ、大好物のキュウリだよ。」 「アイ シヨウチ」 さんずきんと修羅おばあさんは、あたたかい部屋でよい休日をすごしました。
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