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「あなたがやったんですか。」 「とんでもない、私はたまたま居合わせただけですが、人にあらぬ疑いを懸けるなんて失礼極まり無いですね。」 嫌らしい笑みを浮かべながらそう言うキツネ男に怒りが湧いてくる。 白々しい、今までの事も全部アンタがやったくせに。 「どうです、国営ギルドで見張りでも出しましょうか?またこんな事があると大変ですからね。」 「結構です。」 もう、どうすれば良いんだか。 国営ギルドには入りたく無いけど、お客さんに怪我人が出るかもしれない。 治せるけどさ、でもそんなお店には人は来なくなるだろうし。 いっそのこと、しばらく住み込みで誰か雇うか。 赤字になるけどお店が潰れるよりはマシかな。 「おや、ウチの優秀なギルド員ならこんな事簡単に防げますよ。」 そりゃ、アンタがやってんだから簡単だろうさ。 こんな人に借りを作ったら絶対良くない事になるのは間違いない。 「こんな事が続けば店も立ち行かなくなりますなあ。ウチに入れば完璧に守って差し上げますよ。」 白々しく言い募るキツネ男に低い声が掛けられた。 「・・・テメェがやったのか。」 ユラリと黒い物が立ち昇る。
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