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時は止まることを知らない。なら、私に残された時間はあとどれだけなんだろう。
ふと浮かんだ疑問に、私は恐怖した。いつまでも続くように見える道。でも、常に変わらない道なんて存在しない。どんな道でも、時には曲がり分岐し、終点を迎える。
「なら、私の道はどこまで伸びている?」
疑問に答える声はない。私が今まで重ねてきたことが全て無駄になる。そう考えるだけでも、常に歩み続けてきた私の足は、止まってしまいそうになった。
「誰か、誰でもいい、嘘でもいいから『大丈夫』って言ってくれ」
私の声は、届かない。だって私は一人だから。そんなことは分かっていた。
みんなみんな、過去に置いてきた。私に着いて来られる人なんて誰もいなかったから。でも、私は一人なんだって、考えたくなくてずっと私はみんなの先を走る先駆者なんだって思ってた。
独りなんじゃない、みんなが私を追いかけてきてくれるって……。
だから、私はただ前だけを見て走り続けていた。私の……私たちの夢を叶えるために。
「もう、無理だ」
全力で走っていたはずの私は、いつの間にかその速度を落として歩くような速さになっていた。そして徐々に足の動きが緩慢になり、今完全にその歩みは止まってしまっている。
私は、どこで道を間違えてしまっていたんだろう。生まれた時からだろうか、それとも……。
『みぃーちゃん待ってー』
「ほら、早くしないと置いて行っちゃうよ」
過去の記憶が甦る。三歳も年下だった幼馴染のゆきちゃん。彼女は唯一、私の後を追ってきてくれた。私に分かるように、声をかけてくれた。私はその声に応えるように、振り返って待っていてあげたことも、手を引いて一緒に前へと進んだこともあった。
でも、彼女はある日突然消えてしまった。
『大きくなったら、私もみぃーちゃんと一緒に働きたい……だから一緒に叶えようね。私たちの夢を』
理由は分かっている。彼女が、まだ小さかった頃に私と交わした約束。きっと何も知らなかっただろう彼女の、その無限に広がっていたはずの可能性を、未来を私は奪ってしまったんだから。
彼女は優しい子だった。たったそれだけの口約束とも言えないような言葉を律義に守って、辛くても何も言わず頑張って、そして限界を超えて、私の後ろからそっといなくなるぐらい。
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