魔王の気持ち

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 そう言って振り回される剣を避けながら、先程の返事をまだ貰っていないことを思い出す。 「して、俺の嫁になるのか? ならんのか?」 「なる訳ないの!! そもそも君は帝国大陸を消滅させた犯罪者なの!! そんな奴となれ合おうなんて思わないの!!」 「ま、待て!! 確かにそれは事実だが、ちゃんとした理由が存在する!!」 「問答無用なの!!」  全く聞く耳を持ってくれないアスカ。  俺は振り回される剣を未だに避けながら、理由を言わねばいけないのかと苦い顔をする。  これに関してはあまり思い出したくなかったのだが、仕方がない。  俺は息を大きく吸い、 「愛する者を殺されたのだ!!」  空気中に音の波動が響き渡り、反響して耳に届く。  急に動きの止まった剣に驚きつつ、下げていた顔を上げる。 「えっ……」  遅れて反応するアスカ、その後ろでポカンと口を開いているお仲間は、まだ理解できていないようだ。  仕方がない、もう少し詳しく説明するか……。 「俺の愛したダークエルフが、仕事で地上界に降りた時だ」  アスカは剣を振り上げたまま話に耳を傾ける。 「偶々帝国領土内の森の中で出くわした帝国騎士共に、誰も見ていないと襲われ、女としての屈辱を死にたくなる程味合わされその挙句磔にされ殺されたのだ。それも帝国中心部で大勢の国民が見る前でだ。最悪な事に、あいつには地上界で魔法を行使出来ない理由があった。そのせいで逃げ出すことは愚か、抵抗することすら叶わなかった」  俺の言葉に絶句する一同。
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