魔王の気持ち

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 しかしこれは事実であり、また、その後の俺の行動はあいつ等と同じことをしたようなものなので、全てが正当化出来るわけでは無い。 「俺はあいつ……レヴィの居場所は随時魔力探知で把握していた。だが、あいつは帝国友達が居たこともあった為に直ぐには気づいてやれなかった。気が付いたのは魔力反応が消えてからだ」  其処で一区切りし、 「それに気が付いた俺は直ぐにレヴィの居た場所に転移したが……怒りに我を忘れた俺は、気が付けば海の底に消えた帝国大陸を上空から見ていたのだ」  俺は話し終えると深い深呼吸を繰り返し、乱れつつあった心を静める。  レヴィが何故穢されたのか分かったか、それは死体をいつの間にか回収していた俺は、その後行った記憶映写魔法でレヴィに身にあった一部始終を見たからだ。  魔法によって身動きを封じられ、脱がされ、穢され、鬱憤を晴らすかの様に嬲り殺されていくその様を。  流石にその日の夜は腸が煮えくり返り、城を半壊してしまったのだが。  それ以来、そういった類の感情は起こさないように努めていたが、これも何かの縁だろう。もしかするとレヴィがそろそろ忘れろ、女々しいぞと言っているのかもしれない。  話し終えた俺を見る四名の表情は、見るに堪えないものだ。  他人であるのにも関わらず、気持ちを察してくれるのはありがたい。恐らく皆良い奴なのだろうな。 「まぁ、そいう訳があったのだが、許される事では無いのは理解している。そこで提案なのだがな!!」  暗い気持ちを吹き飛ばすように声を張り上げ、今考え付いた案を述べる。 「お前を嫁にするのは一先ず諦める、その代わりお前監視の下俺を地上界へ連れていけ」 「なっ!!」 「おまっ、どういうことか分かってんのか!?」 「そうよ! それって……」 「余は帰りたいのじゃ」  驚くのも無理はない。魔族が人族の元へ行くのは大概が奴隷としてだ。しかし、流石の俺でもそれは嫌だ。だから、 「勇者よ、俺と使い魔契約を交わせ」
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