謁見

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 しかし、何時までも感傷に浸っている訳にもいくまい。  俺は後ろで騒いでいる勇者一行に視線をやる。 「さぁ! ぐずぐずしている暇は無い! サクサク行くぞ!」  あの後、それでも駄目だと言い張るアスカだったが、仲間の一人、イルミに何かを吹き込まれたらしく人の悪い笑みを浮かべて承諾してくれた。  使い魔とは、基本的に人型の生物とそうでない生物が交わす絶対的な主従関係の事であり、契約者の意に反する事を行ってしまった場合、契約者の言葉一つで身体が硬直し動けなくなる誓約がある。  これには本契約と仮契約の二パターン存在し、本契約の場合互いの血を嘗めて契約を結び、仮契約の場合は手と手を合わせて結ぶことが出来る。  この違いについてだが、本契約はお互いの力を共有することが出来るが、どちらかが死ぬともう一方も死んでしまう。  仮契約は魔力のみお互いに譲渡可能、いつでも切ることが出来る。  このような感じで、一般的なのは仮契約の方だ。  実際に俺とアスカが結んだ契約は仮の方で、本契約ではない。  契約を済ませた俺は、王座に書置きをして出てきたので特に問題は無いはずだ。  俺の部下は心配症の奴が多い為不安ではあるが、其処は信じておこう。  路地から出た俺達は、王都内にある王城へと目指している。  これはアスカから提示された契約を結ぶ条件だ。  ”ヴィスタリア王に自身が魔王であることを告げ、地上界で意味も無く殺人を犯してしまった場合は公開処刑”  これが条件の内容。
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