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「あぁ、すまん。少々考え事をな」
「早く来ないと逸れていも知らないの。その時はどうなるかな~?」
「ふっ、寂しいのなら寂しいと言えばいいものを」
「あーあ! もう知らないの! イルミィ! 転移してなのー!」
「おい! 冗談だ! 止めろ!」
走っていくアスカの表情は悪戯盛りの子供の様であり、嫌々言いつつもこの状況を楽しんでくれているようだ。
俺は慌てて後を追う。
使い魔契約にはもう一つ、隷属側にデメリットが存在し、一定距離以上離れると全身が発火する。
距離は大体契約者から十キロメトル程で、これは仮契約のみの条件だ。
「ベーっ!」
イルミの後ろに隠れたアスカは、小さく舌を出して俺を挑発する。が、俺にそれは逆効果だ。
あまりの可愛さに打ちのめされた俺は持っていた食べかけの串焼きを地面に落とし、膝から力が抜けていく。
「て、天使か……!!」
「いや、馬鹿にされてるだけだろ」
ギールの言葉が妙に心に刺さった。
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