謁見

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「おお……」 「ち、近くで見るとこんなに大きいのね……」 「ふっ、我の城に比べて少し見劣りするぞよ」  王城に到着した俺らは、あまりにも巨大なそれに目を見開いた。  特に衝撃が大きいのはギールとイルミ、ポンの三人の様だ。  この三人の地元は相当辺鄙なところの様で、村内には一戸建て以外の建物が無いのだと。  ギールは驚きつつも何処か見慣れた様子であり、驚きもイルミに合わせているようである。  ポンは無視でいいだろうか。  俺とアスカに関してはその場のノリであり、すぐさま元に戻ると、 「それでは出発なの!」 「待てアスカ。お前、勇者であることを表に公表していないのに、堂々と正面から入ることが出来るのか?」  以前パーティーを組んでいた時、王城に入ろうとして止められていた記憶がある。  俺は疑問に思ったことを質問するが、アスカは怪訝そうな顔で、 「ん? そもそも王命令だから、大丈夫なの。っていうか、何で公表していないことを知ってるの? そもそも最初から不思議だったけど、何で私を……その……す、好きになったの? 今日初めてあった筈なの」  一つ疑問が浮かべば芋づる式に出てくるものだ。  アスカは捲し立てる様に俺に詰め寄り、凄い剣幕で見つめてくる。  ――やってしまった。  我ながら阿保だな。以前アスカとパーティーを組んでいたというのは極力隠しておきたい。その時の俺は既に死んでいる設定なので、今ここでそれを暴露しても混乱させてしまうだけだろう。
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