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ここもこの国の高評価出来るところであり、王族として最低限の品格を守りつつ無駄な出費を出さないのは、俺の部下達にも見習えと常々言っている。
そうこうしている内に王の待つ謁見の間に辿り着いた。
目の前に聳え立つ巨大な扉は、俺の城にあるものの二分の一程度の大きさであり、うちとは違った煌びやかで豪華な造りになっている。
その両側に立つ甲冑を纏うヴィスタリア騎士がアスカへ頭を下げると、黄金の取っ手を手に取りゆっくりと開いていく。
ここまでの道中、ギールが何故かメイドや執事に挨拶されている場面があり、イルミとアスカが質問しまくっていたがその答えは分からず仕舞いである。
恐らく以前何かしらの用で訪れたのだろうが、やけに仲良さげだった為に予想が付かない。
これでこいつが王族だったとかだと面白いのだがな……。
俺は聞きそびれたギールのファミリーネームをあれこれと勝手に考えながら入室していく四人と共に歩を進める。
謁見の間には数名の重鎮が待機しており、その傍で俺達に武器を向けるヴィスタリア騎士が出迎えてくれた。
正面には豪華絢爛な玉座に、とても良い姿勢で座り込む現ヴィスタリア国王の姿が。
老化に伴い白く染まった頭髪を前髪から後ろに流し、威厳を出そうと必死なのか口元に同じく白い髭を無駄に蓄えている。
でっぷりと肥やしたその身を、赤地に白をあしらった上質そうな衣装に隠してはいるが、それは意味を成してないようで腹部の膨らみは自己主張が激しい。
国王は人のよさそうな笑みを浮かべて俺達を見ているが、その額からは尋常じゃない量の汗が噴き出しており、付き人にタオルで拭きとられている。
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