謁見

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 この話についても、天界に住まう神に事情を説明した為不問とされている。  国王が言ったように魔界との睨み合い等殆ど無く、事情を余り知らない地上界が一方的に此方を敵視していただけなのだ。  確かに魔人を嫌う種族は地上界に限らず天界にも存在する為、気をつけないといけないのは事実であるが。 「してアスカよ、今回の旅を終えたお前にはもう一つ、行ってもらわんといけない場所がある」 「はあ?! 元の世界に帰る件は――」 「お前がアスベル様を見ておらんで誰が見るのだ」 「あ……」  その事を考えていなかった様子のアスカは全身真っ白になり、燃え尽きたように膝を付いた。  まあ、俺が方法を知っているからそこまで気を落とす必要が無いのだがな。  しかしそれを敢えて言わない方が面白そうだ。  俺は弧を描く口元を隠すべく手をやる。 「それであの条件の一つ、元の世界に帰る方法だが、未だに見つけられんでいる。だが糸口を見つけはした。それを更に掘り起こす為にはあと五年は掛かる計算だ」  そんな国王の一言にアスカの身体は砂と化している。 「して、その間暇になるであるお前には学園ネレウスに通ってもらう事にした! 確か今年で十七だったろう?」  …………。  ……。 「それは我もかえ?」 「あんたは黙ってなさい!」  静まり返った室内にポンとイルミの声が嫌に響く。
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