謁見

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 手揉みをする国王に首肯で答え、王の前だというのに騒いでいる勇者一行に目を移す。  周囲に使える騎士や重鎮の中には苛立ちを見せている者もいるが、気にする様子のない王の手前何も言ってはこない。  ここいらに関しては良く教育が行き届いているようで、一度はズッコケた者達も今では綺麗に整列し直している。  話の纏まった俺達は、その後王城にある巨大な転移魔方陣の用意された部屋へと通され、ギールとイルミ、ポンが母国へと帰っていくのを見届けた。 「学園かぁ。楽しみなの! ネレウスは旅の途中でもよく耳にしたから、期待で一杯なの!」  王城を抜けた俺とアスカはもう一度クリスタ大通りへと赴いている。  余程楽しみなようで、先程から燥いでいるアスカ。それを見て俺の心は真冬に温泉でも入ったかのように温まっていく。 「そうだな。俺も初めてだから楽しみだ」 「正直アスベルは勉強する意味無いの」 「確かにな。だが、繰り返し学ぶことは悪い事ではない」 「良い事言うの~」 「向こうでは寮生活になるようだが、俺とお前は同じ部屋にしてもらうよう王に頼んでおいた」 「はっ!? 何変な事してるの! ていうか王様と知り合いってどういうことなの!!」  詰め寄ってくるアスカを適当にあしらいつつ、同じようにからかいながら大通りを進んで行く。  ――学校。初めての体験だが、どのような事が待っているのか、胸が躍るな。
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