107人が本棚に入れています
本棚に追加
一つ目に関しては、よくある話で戦争の道具にされる、隷属化される等を未然に防ぐ為。
二つ目は、別に私が向こうに未練がないわけでは無かったからだ。
帰れるのならば帰りたい、しかしこの状況を楽しまずに帰るのは些かなものか、との判断である。
やはり毒された私の脳内は、中二病全開であり、向こうに帰った時が怖い……。
そんなこんなでトントンと話が進んで行き、私は城内での三カ月に渡る特訓の末に旅に出ることになったのだ。
そして現在、私は幾多の困難、幾多の屍を越えて魔王城最深部へと到着したのだ。
もう仲間が死のうが出ることの無い涙が少し恋しいが、気持ち半ばで死んでいったあいつ等の為にも、こんなところで立ち往生していてはいけない。
私はもう一度フンスと息を吐くと、後ろへ振り返る。
「ここが最後なの。ここを越えれば私達地上界の皆が救われるの!」
視線の先には三人の仲間待機しており、待ってましたとばかりに其々が気合充分の声を上げ、自らの得物を構えた。
「あぁ、ここまで来たんだ。任せとけ」
「私たちを見くびらないで頂戴! 準備は万端よ!」
「しゃーねぇな。本気出しますかっ」
三人の声に笑顔で答え、正面に向き直る。
――やばいよ、全然信用できないの! まだ会って一週間も経ってないのに!
私は滝の様に流れ落ちる冷や汗をどうすることも出来ず、喜怒哀楽どれにも当てはまらないような奇怪な表情を浮かべて固まる。
実はこの三人、魔界に繋がる森手前に位置する村で見つけた冒険者なのだ。
一応、その村で三本指に入る程の実力者らしく、冒険者ギルドでもそこそこ名が通っているらしい。
最初のコメントを投稿しよう!