船上二十日間

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 俺達二人は編入生徒として受け入れられたようで、現在この船には物資と船員と俺ら二人以外は乗っていない。  俺はアスカを二人の小部屋まで運び、優しく寝かせる。  泣き疲れて寝てしまったこいつを見ていると、やはり十六歳だとは思えない。  アスカの瞳から零れ落ちた雫を拭ってやり、寝顔をまじまじと見つめる。  長く伸びた睫毛には未だ湿っており、運んでいる最中に流れたであろう雫の跡が眼尻から頬にかけて白く伸びている。    やはり、見れば見るほど美しい顔立ちだ。    泣いたことにより赤らんだ頬は、真っ白の粉雪に数的滴り落ちた血液の様に美しい。  まるでいつかの真冬に起こったあの―― 「っ……」  いかんいかん、あの記憶を思い起こしては駄目だ。  俺は頭を振り先程思い出したことを忘れ去り、アスカの髪を人撫でして部屋を後にする。  こんな顔、アスカには見せられない。  寄ってしまっている眉間をぐりぐりと指で押し整え、頬を叩きこれから起こるであろう様々な出来事を思い浮かべ気持ちを切り替える。
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