船上二十日間

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 次第に成すがままになり、じっと吹き終わるのも待ってくれるようになり、自然と口角が上がってしまう。  このまま見ていると、まるで本当の子供のようだな。  綺麗になった頬に軽く叩きを入れ、頭を撫でてやる。  何気にこれがお気に入りの様で、大概の事はこれ一つで許してくれるのだ。 「酷いの。お嫁に行けなくなったらどうするつもりなの!」 「任せろ、俺が生きている限りそんなことは起こり得ない」 「うぅ~」  恨みがましく下から俺を見つめるその表情は、愛玩魔獣にも見えてしまい、怖いどころか更に愛おしくなってしまうだけだ。  仕事を放棄し緩々になってしまった表情筋を空いたもう片方の手で解しつつ、頭の隅でこれからやるべき事の段取りを立てて行く。  これから先起こり得るであろう最悪の事態を想定しつつ、今のひと時を堪能する。
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