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しかし、私は見たことも無ければ聞いたことも無く、全く信用が出来ない。
本来ならば魔界で連携を高めようと思っていたのだが、何故か魔獣一匹出てくる事無く魔王城に到着してしまい、其処で念願の敵が現れた! と思ったらスライムだったりと。
結局三人の実力を測ることすらもままならずにここまで来てしまった次第である。
まあ、今更文句を言っても仕方がない。
私は気持ちを切り替えるべく両頬を張り、溜息とは違った細い息を吐きだす。
「よしっ」
両手を前に出し、私達の歩を止める悪趣味な扉に触れた。
およそ十メートル程の高さがあるこの扉は、装飾は骸骨で出来ているものの、触れた感じは鉄製だ。
手から伝わる重圧感を考えると、結構な厚みもあり、一枚だけでも一トンはありそうである。
しかし、此方に来てからのNewアスカには紙も同然。
足から腰、腰から肩へと力を伝達していき、全力で扉を押し込む。
「はっ!!」
バゴオオオオオオオン!!
途轍もない音と共に勢いよく開かれる扉。その勢いで視界は砂煙で覆われ、開かれた前方の様子を見ることが出来ない。
そんな中、背後から一つの影が躍り出る。
「私の出番ね!」
勇者パーティー魔法使い担当のイルミさん。彼女は自慢のピンクい長髪を自らが放った風魔法に靡かせながら私へとウィンクする。
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