1人が本棚に入れています
本棚に追加
ちょっと待ってよ。それって私の勘違いだったってこと?あの告白は私に聞かせるために?
「だから俺はお前のことが好きだ」
私は手のひらで彼を叩いた。
こんな時に告白はされたくなかった。それでも思いを伝える。彼女が仕立てたせっかくの恋が壊れないように。
「ごめんなさい。でも、もし気が変わったら返事を返します。だから今は……」
「あぁ、卒業まで返事を待つ」
「おーい、席に付けー」
担任の先生が入ってきた。こっちは何はともあれ、落ち着いたようだ。先生が言うには彼女の体は大変になってしばらく学校に来れなくなったらしい。下手をすればうちのクラスと別れての卒業を迎えることになるって。
私は学校の帰りにいつもの神社に寄った。
小銭を入れていつも通りに行う。
『奏を返す方法を教えて』
心の中からそう思って唱えた。風と共に波の音が聞こえる。そして葉っぱが私の顔に当たる。
目を開けて後ろを見ると、波なんてない。だが、葉っぱはたくさんある。
なるほど。
波に入った手紙を入れた瓶が誰かのところに届くという話がある。つまりここにある葉っぱを使って風に飛ばせば神様が読んでくれるということだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!