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私は葉っぱを一枚手に取って細いペンを取り出し、太字で黒く文字を書く。消えることのないペンはそのまますらすらと文字を記されていく。どうせならこのぐらいのことをしなくては。
『神様。私の体を犠牲にして葉月奏の体を治して下さい。 夏川姫子より』
上からやや小さめに読める字で書いた葉っぱを風に流す。葉っぱは上に吹き上がるなりどこかに飛んでいってしまった。その代わりに私の元に一枚の葉っぱが落ちてきた。私は手を皿にしてそれを取った。
『神様。もし夏川姫子が犠牲にすると言い出すなら私を殺してそれを無効にして下さい。 葉月奏より』
私の目に涙がこぼれた。そしてさりげなく葉っぱを裏返す。
『葉月奏と夏川姫子に永遠あれ。 神様より』
そう読みにくい黒い字で書いてあった。汚いとかではない、勇ましいというかたくましいというかそんな字だ。それでも読めた。だが、意味はよく分からなかった。私はスマホを使用して彼女に連絡をするが、ダメだった。彼女の家にも行ったが、まだ誰もいない様子だった。担任に電話をして病院のことを聞こうとしたが、「そればかりは俺が行く前には教えられない。だからそれまで待ってておくれ。明日にでも教えるように用意はするから」とさすがの担任の先生でも涙声だった。
そして私は悲しみに溺れながらも一日が経過した。
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