この葉が届くなら

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「おーい、夏川。大丈夫か?あんなに走って階段登ったりするから気持ち悪くなったんだな。女子トイレに入る義理はねぇ。だが、俺はここで待つ。担任だからな。安心しろ、他の女子生徒には別の階を使わせてやる……ん?大丈夫なのか?」 そこには担任の男の先生が女子トイレの壁を背中に付けて廊下を眺めていた。 「はい」 「念の為、保健室に連れていく」 「えっ?先生?」 私は先生に無理矢理おんぶをさせられ、保健室に向かう。その背中は私の冷えきった心を温めてくれるようだった。 「うん、問題なさそうね。もし具合が悪かったらまたおいでなさいな。相談もね」 「はい」 私はそう言って女の保健室の先生に帰してもらった。担任は保健室の先生に私を預けた後に職員室に向かったようである。 その後の私は彼女と顔を合わさないようにして生活を送った。彼女は何か悔しそうに何か言おうとしていたが、無視をした。 そして帰る際、彼女に誘われる前に素早く帰って行った。 私は玄関でスマホを見た。彼女からの連絡は何一つなかった。 校門を見てみると、小雨が降っていた。帰り道を歩き続けていつもの神社に向かう。 雨の日には彼女が来ないことは嫌でも知っている。私だって本当は行かないから。 私は小銭を入れて昨日のようにお祈りする。しかし内容は違った。 『一日でもいいから葉月奏に嫌なことが起きますように』     
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