1人が本棚に入れています
本棚に追加
私はそう祈ってしまった。私は嫌なことって物がなくなって悲しむとか棚にあった目覚まし時計などの物が彼女の足に直撃などといった軽い嫌なことだった。
そしてそのまま家に帰った。
「ねぇ、知ってる?迷信なんだけど、あそこの神社ね……」
夕飯の前に冷凍のたこ焼きを数個食べてる最中に母親は話しかけてきた。
「うん、晴れの日には願いごと叶いやすくなるんでしょ?いつもやってるって言ってるじゃない」
「うん、そうなんだけど。雨の日になると逆に悪い願い事が叶いやすくなるの」
そう、母親が言った時だった。物凄い音と共に車のブレーキ音が聞こえた。そして悲鳴が聞こえた。私はフォークで捕らえていた一つのたこ焼きを落としてしまった。
「あら、何事かしら?見て来るわね。あなたはどうする?」
「行く」
私は彼女の後ろを歩きながら出口を出た。どしゃ降りの雨の中で伸び上がる煙。そしてそこには宅急便の後ろ姿が見える。しかし人が多く集まっているためちゃんと見えない。
「ねぇ、あれ、葉月さんとこの娘さんじゃない?」
その声が前の方で聞こえる。
やめてよ、そんな冗談。
雨の音が私の耳に激しく鳴り響く。
そんな時、私のポケットから振動が震え出す。
そこからスマホを取り出した。
『なっちゃん、なんかごめんね。あとで家で話すから待っててね』
最初のコメントを投稿しよう!