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問題点があるとすれば多摩は少し様子がおかしいのだ。
頬はうっすらと赤く染まり、目は潤み、少し触るとかなり体温が高い。
そして両腕を清明に向かって伸ばし「....お兄さん..来て..」と呟く。
早い話、多摩は完全に発情しているらしい。
ただ肝心の清明はというと謎の力に酔いしれており、これで長年の悩みが解消されるかも知れないという歓びで多摩どころではなかった。
とは言うものの、多摩が清明の背中にハグする感じで甘えて来たのを背中に感じて清明の精神集中が解ける、すると多摩は先程の通常状態に戻った。
「お兄さん!上手くいったじゃん!何か途中から気持ち良くなって微妙に覚えてないけどさ。」
多摩には儀式が成功したとしか覚えてないらしい。
清明は試しに手に軽く集中すると多摩が清明の近くに寄って来た。
(これ....この式神の儀って多摩の身も心も俺に同調させて操る事なのか?)
清明の推理は半分正しい。
残り半分は気が繋がっている最中の多摩は主人である清明を魂の奥底から愛し過ぎてしまい、自分自身を犠牲にしてでも守り通してしまう諸刃の剣である事だ。
つまり玉藻が多摩に授けた戦う力は孫の多摩をも犠牲にしかねない力なのだ。
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