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夢魔の所在は多摩がいったん自宅へ帰り祖母の玉藻に調べてもらうとの事なので、清明の部屋には昨日以来の静寂が戻って来ていた。
「結局、学校をサボってしまったなぁ」
ベッドに横になり今日の出来事を反芻(はんすう)する。
早朝に出会った春日多摩。
本当に妖怪かは正直疑問の域を脱しないのだが、祖母の玉藻は本物と言わざるを得ない。
多摩が帰った後で自分なりに玉藻について調べてみたものの、お伽噺に毛の生えた胡散臭い情報でしかなかった。
妖狐には二種類あり徳川家に現れたと云われる金狐やお稲荷様に代表される善狐、
人々に混乱をもたらし害をなす九尾狐は悪狐と呼ばれる。
今度、奥多摩にあると聞いた春日神社へ訪問して色々聞いてみようかと思う。
確かに妖怪退治は恐い。
だが、これは清明の直感なのだが春日多摩も含めて何か見知らぬ妖怪も仲間に出来たら上手く行くのではないかと思っている。
多分だが陰陽師の血筋がそう囁いていると感じる清明であった。
翌朝
夜が明けて、そろそろ仮眠しようかとベッドに入った時、清明の部屋のインターホンが来客を告げて来た。
モニターを確認するまでも無く来客は多摩である。
ギャルメイク度は昨日よりアップしており、ファンデーションや口紅にまでラメが入っていて妙にキラキラしていた。
表情はにこやかだ。
というか何か情報を伝えたい気持ちがグイグイ出まくっている。
「お兄さ~ん、ドア空けて~私来たよ~。」
これでは、近所に見られたら女の子を連れ込んでいる様にしか見えない。
多摩がもう少し真面目そうなら妹とかに見られなくもないが、完全に遊んでそうなパーティーピーポーな感じなので対応に困る。
とりあえず鍵を空けてインターホン越しに「入って」と告げた。
そして部屋に入り清明の姿を見るなり駆け寄り昨日より10倍程元気に挨拶してきた。
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