【夢魔】

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「近い!近い!顔近いから!」 昨日から思っていたが多摩のパーソナルスペースが異常に狭い。 パーソナルスペースとは他人が近付き過ぎると不快感を感じる警戒心の距離の事だ。 肉親や恋人などはパーソナルスペースが狭くなり、赤の他人な程距離が広くなる。 更にパーソナルスペースは男より女の方が広い傾向にあり、そんなに近付いてもいないのに睨んでくる女は警戒心が強い。 ちなみだが多摩の清明に対するパーソナルスペースはゼロだ。 何故なら昨日の儀式により多摩の妖怪の本能の部分が清明と一体化しちゃってるからである。 現在清明には特に霊感とかが無いので、単に多摩がひたすら馴れ馴れしいだけの女という認識。 「そんなことよりお兄さん!夢魔の事が判ったよ!」 それは清明には非常に朗報である。 「夢魔ってね空気みたいな存在で、ここに居るのに見えてないし触れないんだって!」 朗報でも何でもなかった。 「それってお手上げって事だよね?」 「大丈夫!お婆ちゃんに教わって来たから!」 そう言って多摩は清明の手を引っ張りベッドへと導いた。 「お兄さん!今から寝よう!」 清明は、もともと仮眠するつもりだっから今から寝るのはやぶさかではないが、テンションの高い多摩に見られたままでは目が冴えてしまいそうだ。 でも今日は、昨日の騒ぎの後の今日なので眠気が勝る。 「んじゃ、お言葉に甘えて少し寝るから。」 そう言って清明はベッドに潜ると、何故か続けて多摩まで潜り込んで来た。 「....何でだ?」 眠いのに寝かせて貰えずイラつく感じの清明。 「お婆ちゃんに教わって来たって言ったじゃん!ほらほら気にしない。」 そう言って多摩は清明にビッタリとくっつき、清明の両手を多摩の腰に回して昨日の丹田の場所まで持って来た。 「よし、準備オッケー。おやすみ!!」 『おやすみじゃなくてこれじゃ寝られねぇよ!』 なんかもう多摩の身体は柔らかいわ、女の子くさいわ、化粧くさいわで清明の思考はぐちゃぐちゃである。
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