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「忘れとった、お嬢さん達腹は減ってないか....って何をしとるんじゃ?」
いきなりふすまが開いたので清明と多摩は驚いて布団から転げ出してしまった。
「....いやまあ、ワシは別に人間のまぐわいを見て何とも思わんが、洗濯がめんどうじゃからあまり汚すなよ。」
そう言って泥田坊はふすまを閉めて帰っていった。
ついでに置いていったお盆にはお握りと漬け物が乗っている。
二人の仲を察した泥田坊は気を利かせて自室へと帰っていった。
そうなると逆に気まずい若い二人である。
取り敢えず泥田坊から貰ったお握りをありがたく頂く事にした。
「それにしてもお兄さん、こんな調子だと妖怪退治なんて一生終わらないねぇ。」
「全くだよ。滅ぼすか調服しか無いって無茶だよなぁ。」
この一ヶ月で清明が体験したのは思ったより妖怪が人間の日常に食い込んでいる事だった。
中には妻子がいる妖怪もいた。
そんな家庭を壊せる訳も無く、大体は引き下がって諦める二人であった。
「改心した妖怪って業の書から消せないのか?」
清明が多摩にいつか聞いてみようと思っていた疑問点を聞いた。
「お婆ちゃんから聞いた話しなんだけど、このページのインクってページに載ってる妖怪に殺された人達の恨みの黒さなんだって。
例えばお兄さんのお母さんが殺されたとして、そのお母さんを殺した妖怪が急に改心した。
お兄さんその妖怪を許せる?」
確かに多摩の言った通りである。
妖怪に事情があっても被害者にも事情があるのだ。
「....凄く難しい問題だな。」
気分が盛り下がったので、やはり早めに就寝する事にした清明。
そして当然の様に清明の布団に入ろうとする多摩。
もう文句を言う気分でもない清明は多摩のやりたい様に一緒に寝る事にした。
それは別に構わないのだが、しばらく一緒に寝てると多摩の鼻息が荒くなり明らかに性的に興奮している多摩を見ると、逆に萎えてしまう清明なのであった。
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