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「あの、もしかして妖怪の事をご存知なんですか?」
清明は入り口にいた老人に聞いてみる事にした。
その間に多摩は業の書を開いてみる。
すると泥田坊の名前が淡く輝いている…
「やっぱし泥田坊の仕業っぽい。昨日は友好的な態度で私達を油断させたのかなぁ。」
だが業の書はもう一つの名前も一緒に光っている…
【ダイダラボッチ】
『おい多摩!あれを見ろ!』
清明はさきの土砂の土偶が更に大きな化け物に変化しているのに気付いた。
「デカ!!あれはちょっと反則じゃね?」
これはもう怪獣大戦争だ。
そしてその大男は泥田坊の泥攻撃を無視し現場の重機を片っ端から破壊し始めた。
「むむぅ…泥と巨大土偶…私達ピン~チ!」
多摩は呑気に腕組みしながら言った。
灼熱の泥が土偶の身体に降り注ぐのだが、土偶はびくともしない。
土偶は次第に入り口に近寄り二人と老人の場所に迫って来ていた。
すると何処からともなく重苦しい声が周囲に聞こえて来た。
『ここは危ない…ワシの家に隠れているのじゃ。
あやつは山神。
山を削った際に祠が破壊され、それで暴れておるのじゃ。』
清明は老人にここは危ないから下がる様に言った。
だが老人は動かない。
『…私達夫婦の為に…あんなに傷だらけになって…。もういい!止めてくれ田畑さん!』
「あの~もしかしてお爺さんって、泥田坊の事を知ってたの?」
多摩は老人に聞いた。
『ワシは森本というもんじゃ。田畑さんには畑の世話を手伝ってもらっとる。
田畑さんの正体?そりゃ気付きもするさ、
歳も取らずに長年同じ畑や田んぼを耕し続けていればな。
だがワシら夫婦は田畑さんを特別には思っていない。』
「なるほど、そりゃ歳を取らなきゃ不自然だわ。」
森本さんの説明の最中に泥田坊は山神ダイダラボッチの一撃を喰い吹き飛ばされた。
その時、叩きつけられた衝撃で泥田坊が人間の姿に戻っていた。
二人と森本さんは急いで泥田坊に駆け寄る。
明らかに傷だらけの泥田坊。
誰が見ても、これ以上の戦いは無理だ。
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