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「いいの?勝手に開けて大丈夫?」
そう言いながらも御神体の中が気になる多摩。
自宅も神社なのだが、玉藻からは神殿に入るなと口酸っぱく説教されるので興味があるのだ。
神社の御神体は石仏でも宝珠でも無く一冊の古びた本が入っていて、森本さんはその本を清明に手渡した。
清明は森本さんから受け取った本を開く…
『意味が解らない…って言うか読めねぇよ…。』
よほど興味が無ければ一介の高校生では漢文で書かれた楷書体(かいしょたい)は読める訳もないのは仕方ない。
「ちょっと貸して!」
そう言って多摩は清明から本を取り上げた。
すると全10ページ程度なので1ページづつスマホで写真を撮影し始めた。
清明はすぐに察する。
多摩はLINEで祖母の玉藻に解読を頼んだのだ。
待つこと10分くらい玉藻も事態を察しているのか、要件のみの返答が送られて来た。
「…え~と。太上神仙鎮宅霊符を用いて九字を唱える…て、霊符なんてあるの?」
多摩は森本さんに聞いた。
だが森本さんは首を横に振った。
『いや…聞いた事も無い。』
「ダメか~。…う~ん。あ!これはどうかな?」
そう言って多摩は森本さんと清明を見た。
数分後。
三人は泥田坊と山神ダイダラボッチの場所に再び来た。
山神の足下で倒れていた泥田坊。
もはやピクリとも動いていない。
『田畑さん!』
森本さんが泥田坊に駆け寄ろうとしたが清明が止めた。
「…大丈夫。泥田坊はまだ死んではいない。
妖怪は死ぬと存在そのものが消えるから…。
けど存在が消えかけているな....。」
泥田坊に時間が無いのを感じ、急いで玉藻の指示通りの作戦を実行する事にした。
まずは多摩が清明をお姫様抱っこの体制で持ち上げる。
『…ちょっと恥ずいな…だがまぁ仕方ねぇ!多摩、俺の指示通り動け!』
玉藻から古文書の解読結果から《禹歩方陣》という陰陽師の技法が記されていた。
そして《六気法:木の呼吸》も必要と書いてある。
「いいか?泥田坊は陰陽師の属性で言うと水だ。
だから木火土金水の法則により土属性の山神には泥田坊は勝てねぇ。
俺達は六気法で木の呼吸を行い木の気を取り入れる。木は土に生えるからな。
なに、呼吸自体は容易い、何故なら俺達がやってた丹田による気の呼吸法がだからな!!」
ちょっぴりアホな多摩は清明の作戦の半分も理解出来なかったが、いつもやっている最後の呼吸法だけは理解した。
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