終りのその後…

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 そう言って、マークと呼ばれた青年は折りたたみ椅子から立ち上がると、往年の探偵小説に出てきそうな長袖シャツと脇にチェック模様の入った茶色のベストとスラックス姿で格好を付け、肩下まである長い黒髪を掻き上げてみる。  ちなみに首にはループタイ、手には黒い革手袋を付けている。 「(しかも汗ひとつ掻いてないとか……)あー本当にいつもしっかり着込んでるよな。くっ……これじゃあ下着姿の俺が間抜けみたいじゃないか」 「相方が僕でよかったね。女の子とだったらどんなに暑くてもその格好は難しいだろうからね」 「いや、俺はカッコつけのお前と違うから。体裁よりもこの暑さの方が問題だから、相方が女でも、同室だろうと暑い時は正直に暑いと言うし、脱ぐ!」  ケイはそう言いながら汗でベタつくタンクトップを脱いで、ついにトランクス一枚の姿になると、脱いだタンクトップをコンクリートの床に叩き付けた。  汗をたっぷり吸い込んだタンクトップはベシャリという濡れた音を立てて伸びている。 「お前は一生モテないな」 「うるさい。余計なお世話だ。ところで今日のノルマは? 早く終わらせればクーラー付きの次の仕事に行けるんだろう? 早回しで行こうぜ」 「まあそう焦るな。無理をすると、『能力の寿命』が縮む。だけどまあ、今日は君の希望に沿ってペーパーは5枚にしようか」     
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