終りのその後…

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 記憶を『消す』者と『書き換える』者。仕事はこの2者で行われる。  ちなみに俺は『消す』、イレーザーと呼ばれる方の能力者で、マークが俺が消した後に用意された情報を『書き込む』ペンシルと呼ばれる能力者だ。  人間の記憶は――脳は複雑だ。  消すだけでもいけないし、書き足すだけでもいけない。  スムーズにターゲット本人にも周りにも気付かせない様にするには、この役割分担は欠かせない。  ターゲット1人の記憶だけ変えれば済む時もあるけれど、大体は『人間関係』というものがあるからターゲットの記憶に合わせた『微調整』が必要な事の方が多い。  今回の仕事も、その微調整が必要な事案だった。  しかも関係者がそれなりに人数が居るという、面倒臭がり屋の俺にとってはあまりやりたくないタイプの仕事だ。 (つか、こんな大仕事作ってんじゃねーし)  本当ならこんな仕事……見たくも無いモノを必然的に見せ付けられるのはもう嫌だから辞めたいけど、生憎俺は孤児の上に幼い時点で機関に『能力』を見出されてしまったため、能力者専用の育成施設で育ち、この仕事以外の事はサッパリだったりするので、生きるために仕方無くやっている。 ――という記憶も『本当の記憶』か怪しいところだけどな。     
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