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時計が朝6時を示した。
ケイとマークはそれを確認すると、互の顔を見合わせて頷く。
「それじゃ、仕事と行きましょうか」
マークが真剣な表情で言った。
「おう」
この時のマークの姿は彼の『トレードマーク』であるベストとスラックスでは無く、TシャツとGパンという非常に簡素な格好だった。
長い黒髪は後ろで簡単にまとめられている。
手袋もしていない。あれはファッションでは無く、能力が暴発しないようにするためのペンシル能力者専用ハンドカバーなので、仕事の時は外す。
ペンシルは能力の性質上、素手のままだと希に『情報漏洩』させてしまう事があるからだ。
イレーザーにも一応ハンドカバーは支給されている。
理由は大体同じだが、こっちの場合はランダムで記憶を削除してしまう事がある感じ。
まあ、被害を被る側からすれば危険なのには変わりないけど。
だが、ケイはあまり使ってはいない。通気性の悪いアレは付け心地が悪いから。暑い日などは特に勘弁だ。
さすがに激しい人混み歩くときくらいは付けるが。
この手の不意打ちリスクはお互い抱えているが、『消す』のと『加える』のでは、その影響力はペンシルの方が格段に上だろう。
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