帰る森はない。

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 一体どういう交渉をしたのか気になるところだが、多分スレイの同胞であるエルフ等の高等妖精を仲介にして説得したのだろうというのは想像に固くなかった。  人間だとよほど清い人間、賢い人間でないと相手にされないが、そもそもが妖精として清い存在であるスレイ達エルフと彼等は比較的容易に接触していたから。 (後は主な客が子供なのもあるのだろうな。子供はいつの時代も無邪気で清いモノだ。彼等も邪険にはしにくいだろうし、相手をするのはやぶさかではないのかもしれない)  その分無礼である事も多いが……。  それはこれから学べば良い事。  ここで人間と妖精族が交わるようになった事で生まれた社会的に良い面を紹介しよう。  住処を追われた妖精族はなかなか苦労しているが、妖精族が持つ知識や矜持は人間とって魅力的な面、感化される面があるらしく、妖精族が多く住む地域は犯罪率低いという統計が出ている。  食い扶持に困った妖精が犯罪を犯す事もあるが、基本的には誇り高い妖精達は種族の壁を越えて困っているものは助け、寛大な心で知識を分け与えてやるくらいの器量を持っているので、妖精と親しくしている者は自然と優しくなる。  そして昔よりは減ったとは言え魔力や、優れた身体能力を有しているので争い事に遭遇した時は率先して解決しようと試みるのだ。     
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