帰る森はない。

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『こんな東の国で、たくさん居るピクシーとは言え本当の同族に出会うのはほとんど無いだろう。納得だ』 『もうちょっと席の中の方に入ってきたらどうだ? 飛びながら妖精語を喋っていると目立つかも知れない』 『あ、そうね』  リネアはチラリと周囲を見回すと、飛ぶのを止めてスレイの前に腰を下ろした。 『お疲れ様』 『ええ、本当に疲れるわー。人間達の要求で接客中はずっと飛び続けていなくちゃいけないから、貴方が来てくれて本当に嬉しいわ。それに人間語も飽き飽き!』  そう言ってリネアは背伸びをする。  そんな彼女の姿にスレイはフッと微笑む。 『全く、飽きっぽいピクシーが良くやってると思う。しかしピクシーの体格で出来る仕事は限られているからな』 『ええ。特に最近はIT化が進んでメッセンジャーの仕事の需要も減っちゃったから、鑑賞されるような仕事ばっかりよ。貴方は何をしてるの?』 『幸い、形は変わったがエルフの頃からやっている吟遊詩人と画家で糊口を凌いでいる。仕事を貰うのに人間共に頭を下げなくてはいけないのは私も一緒だが。全く嫌な時代になった』  スレイも溜息を吐いて腕を組む。     
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