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もちろん今でも残存する自然にしがみついている集落も残っているが、多くの亜人は人間達との共存の道を模索する選択をした。
今ここにいる彼――スレイもその道を選んだ亜人の一人だった。
いや、正確には嫌だったが絶対的決定権を持つ族長が人間達と歩むという決定を下したので生まれ育った森を離れて人の街に移り住み、流れ流れて日本にやってきていた。
ちなみに彼の育った森は今はもう無く、人間の街になっている。
スレイは当然今の状況に納得はしていないが、帰る故郷も無いので仕方無く流れ着いた日本で生活している。
なお、職業は故郷の頃から続けている吟遊詩人と画家である。
でもそれは今となっては自称に過ぎず、ファンシー(?)な文体のライターと古風なタッチが売りのイラストレーターとして仕事を受注している。
ついでに言えば、作品は基本的にネット納品なので当時唄に使っていた竪琴は押し入れで埃を被っている。
クリエーター業界的にはエルフであり、エルフの知識を持つ職人は少ないので今のところ一応食うに困ってはいないが、高尚な存在として崇められてきた自分が俗世の存在として仕事をしているのは非常に不本意極まりないのが本音。
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