帰る森はない。

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(うん。僕は本当、頑張った……頑張ってる……)  自分を褒め称えたい。  毎日そんな気分で過ごしている。  同じ木造の建物に住んでいても、この部屋はとてもチープで丸で鶏小屋に住んでる様だ。森の家はこんな掘っ建て小屋じゃなかった。  いや、考えてみたらぶっちゃけ掘っ立て小屋だったけど清らかさがあった。(記憶補正)  取り敢えず…………。 「全てが全て違うし気に入らないんだよーーー!!」  今度は窓から身を乗り出して叫ぶと、またどこからか「ウルセーーー!」と怒鳴られたのだった。 「スミマセン! スミマセン!」  買い出しの途中、謝り倒す女の子の声に気が付いてスレイはふと歩みを止めた。  するとすぐ傍のの喫茶店で窓越しにピクシー(羽根を持った小さな妖精)が客に頭を下げているのが見えた。  よく見るとテーブルの上にはコーヒーのミルクが零れており、看板を見ると『ピクシー喫茶』と書かれている。 (ああ。最近よく見るようになった、ピクシーに接客させて愛でる店か)  しかし中には無許可で性的なサービスまでさせている店もあるという……。  ピクシーと呼ばれる種族は、主に木の精霊ドライアードの眷属で花や木に生息しており、春や夏の季節を活発的に活動する種族。     
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