帰る森はない。

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 万年筆など無かった時代は削った木や鳥の羽をペンにして使っていたので、コンビニで貰う割り箸を削ったり、時々部屋に訪れる鳥にお願いして翼から羽を分けてもらって使ったりしている。  ボールペンや鉛筆も便利だが、この手作り感が何とも懐かしくてたまらなかったりする。  さすがに羊皮紙は手に入らないし、木の板はスキャナーにかけるのに不便なので書くのは紙を使っているが、紙はどちらかといえば藁半紙が好きだ。  どことなく羊皮紙に似ている。  手に入る紙の中ではアレが一番懐かしみがあるが、最近はすっかり廃れて手に入りづらくなってきた。見かけても古道具屋でばかりなので、見つけたらまとめ買いするようにしている。 「こんなものか」  大体の文を書き終えてスレイは一息吐いた。  この手のテーマパークで雇われる妖精は当然人気のある種族ばかり。書く事は大体一緒なのですっかり手馴れてしまった。  もちろんスレイと同じエルフも居り、大体ピクシーと並ぶ花形扱いだ。  ちなみにこのテーマパークには幻獣園もあり、本来ならスレイ達と同等かそれより高等で神聖な存在とされていた動物が普通に飼育されていたりする。 (ユニコーンやドラゴンなど我々でさえ敬意を払い接していたのに、彼等はよく人間共の見世物などになる気になったものだ)     
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