1人が本棚に入れています
本棚に追加
姉の死
縷々夢十六夜の通夜は自宅近くで行われ、次の日には葬儀と火葬が行われることになっていた。
通夜には十六夜の通っていた大学の関係者、友人からバイト先の同僚まで、様々な人達が焼香に来た。
知らない顔を幾つも見ながらお辞儀をするのに、妹の三夜は精神的に疲弊していた。
(夢で見た光景を現実で繰り返すなんて。あれは予知夢だったのかな)
まだ高校生の三夜は肉体的な疲労はないが、二度目の通夜に出席している気がしていた。
夢での予行演習のときか、姉の死に直面したときに流したせいか、もう涙は出なかった。
(それか、妙に遺影がモデルの写真みたいだからかな)
姉の十六夜の写真は三夜が選んだ。
この黒のワンピースドレスを着た姉が、とても大人びていて一番綺麗だと思ったからだった。
最初のコメントを投稿しよう!