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三谷は下館駅の階段を駆け上がってた。便所から悪臭が漏れている。
ここのトイレマジでクセー!
たったいま人を殺した。
戸村治、殺人ロボを開発していた技術者だ。いったい、どこの研究所にいたのだろうか?3ヶ月前まで三谷はチンピラをしていた。
8月のある夜、しし座流星群がスゴい夜だった。錦糸町にあるパチンコ屋でスロットをやっていた。
『今夜はダメだな?』
尿意をもよおしトイレに立った。
小便器にツバを吐いた。
『ケッ、ついてねーよ』
ドアの開く音がした。後頭部に何かが当たる。チャカ!?驚きのあまりに小便がズボンに飛び散る。
『だっ、誰だ?』
『刀龍会の三谷だな?』
『あっ、ああ、そうだが?』
『0時までに新宿にあるスターライトホテルの302号室に来い』
言われたとおりに三谷は向かった。
3人の男がいた。
窓辺でタバコを吸っている初老、唐木。ベッドに座りチャカの手入れをしている茶髪の若者、檜山。ソファでiPodを聴いている坊主頭の中年、真壁。
『約束とおり来てやがったぜ』
唐木がロレックスを見た。
『12時ジャストだな、面白い男だ』
『ケッ、たまたまだ。ところで何のようだ?人のせっかくの休日を邪魔しやがって。だいたい、何で俺のことを知っていやがる?あんたらいったいナニもんだ?』
真壁がイヤホンを外してiPodの本体にクルクル巻きつけた。
『そうやってしまうと壊れるぞ?』
三谷は言った。
『大きなお世話だ』が、一応直してしまった。
檜山がクスクス笑っている。
『笑ってんじゃねぇよ!』
真壁が怒鳴った。
『スミマセン』
『貴様、透明になれるそうだな?』
唐木がタバコを灰皿で揉み消した。
『よく知ってんねー、誰から聞いたのよ?』
デカイ声で言った。
『しかし、貴様は元気だな?』
『あぁ、ネクラはいらないからな?この社会は。就職情報誌のインタビューに載ってたよ』
『ほー、しかしムダに明るいのも……なぁ?』
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