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 それもタルタルソースたっぷりでないと怪しいけど。 「ははあ。まだ子供じゃけえ、生牡蠣の良さが判らんのんじゃな?」  ニヤニヤと言う早川さんに特別呆れた様子はなかった。俺の代わりに早川さんが剥いた牡蠣を口に入れて、旨いと快活に言うとチビッ子たちもそれも真似して旨い旨いの大合唱となった。 「カズトー。アイスー」 「アイス食べたい! ガリガリくん!」  紅葉谷に向かう土産品を売る店が並ぶ道の途中で、ふたりが駄々を言い始めた。 「もうすぐお家だよ。帰ったらあるんじゃないの?」 「やだ。今日はなかった!」  あ、冷凍庫確認済みなのか。さすがミーちゃんはしっかりしてる。 「そうだ。今日のお昼にお父さんにスイカをもらったよ。きっと甘いスイカがまだあるよ」 「本物じゃなくて、スイカのアイスが食べたい!」 「食べたいー」  お姉ちゃんの抗議に弟が賛同して多数決では俺に分がない。  チビッ子たちに引っ張られて、ふたりが常連になっている商店へと連れてこられた。店の中のアイスボックスをがさがさ探ってふたりはお目当ての品をそれぞれ手にしている。俺もソーダ味のを手に取ると三人分の金を支払った。  先に店から出たふたりを追いかけると、向かいの店の軒先に設えられた日除けの下のベンチに座って早速アイスにかじりついていた。ふたりの隣に座ると同じようにかじりつく。 「あのねえ、カズト。あたしら今日の夜から寿明おじちゃんの部屋で寝るんよ」  ミーちゃんがうれしそうに言った。 「子供部屋できたんだね。でも村瀬さんの部屋?」 「おじちゃん、もう帰らんけえ使ってもええって」  口の周りをベタベタにしたトモくんも得意気だ。 「そうなんだ。でも、そうしたら俺は今夜どこに寝ればいいのかな?」  泊まりのバイトがあるときは実家の村瀬さんの部屋を使わせてもらっていた。あの部屋に寝ていると仄かに村瀬さんの匂いがして好きだったんだけれどな。 「カズトも一緒に寝よう」 「寿明おじちゃんおらんけえ、寂しいもんねー」
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