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「俺が?」 「大人の男の魅力、プンプンじゃん。きっとセレブな奥さまでも手のひらの上で転がせられるよ」  バサッ、と村瀬さんが手にしていた情報誌をテーブルの上に乱暴に置いた。その音に少し驚くと、「……笑えん冗談じゃな、カズト」  低く言う村瀬さんを見上げると、その目は本当にちっとも笑っていなかった。  やばっ、怒らせた?  村瀬さんが右手を俺に延ばしてくる。思わず、びくん、と体を震わせた俺の手から半分以上残っているアイスを奪い取ると、  ――ばくん。 「あーっ! 俺の最後のガリガリくん!」  俺の叫びを無視して村瀬さんはアイスを全部口の中に入れてしまうと、ポイっと残った棒を放り投げた。 「ひどいっ!」 「アイスくらいでぎゃーぎゃー言うな」 「朝から楽しみにしてたのに!」 「買い足しとらんおまえが悪いんじゃ」  フフンと嗤う村瀬さんになおも抗議の声を上げると、うるさいなあ、と言って、 「仕方(しょう)がないのう。これで我慢せえ」  素早く下顎に滑り込んだ指が俺の顔を上向かせると、唇を押し当てられて口の中に舌が捩じ込まれた。 「んんっ」  思わず唸って、そのまま村瀬さんの舌を受け入れてしまう。入ってきた村瀬さんの舌はひんやりと冷たくて、おまけに甘いソーダの味がする。  チュッチュッと湿った音が激しくなると、冷たかった村瀬さんの舌はいつの間にか俺の口の中と同じ温度になっていた。  さすがに息が苦しくなってきて村瀬さんの厚い胸を押し返す。やっと唇を解放してくれて、ぷはっと息を継いだ。 「……なにするんだよ」  顔を真っ赤にして呟く俺に、 「おまえがくだらんことを言うからじゃ。それにな、カズトは俺にだけ笑いかけておけばいいんだよ」  村瀬さんが俺に体重をかけてくる。ゆっくりとソファに押し倒されて、俺は村瀬さんの首に両腕を廻した。耳たぶや首筋にキスを落とされると俺の芯が、じんっと疼く。  ああ、二週間振り……。  今度は俺から村瀬さんの唇にしゃぶりついて、わざとらしく水音を響かせた。村瀬さんの大きな手のひらがソフトなタッチでわき腹を撫でる。そのくすぐったさに身を捩らせていると、村瀬さんの手のひらが俺の股間をやんわりと包み込んだ。
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