1人が本棚に入れています
本棚に追加
あの後、興奮して一睡も出来なかった。
サンタコスのちろぽんに興奮し過ぎて、鼻血が止まらなくなって気がついたら朝を迎えていた。
というのも、半分冗談で今日行われる週一の会議資料を作成する事をすっかり忘れていて、眠れなかった。
「あー、今日も仕事か。だるいな、でもちろぽんが応援してくれてるから頑張らなきゃな。」
適当に、準備をして仕事に向かう。
Tシャツにジーンズ、スニーカーにリュック。社会人とは思えない格好だが、これでも一応社員だ。
スーツは、入社式以来着る機会もなく着ていない。
俺の働いている会社は、「気楽に真面目に適当に」という半分意味不明な方針があり、営業以外はスーツで出社することを禁止されている。
社長は、「スーツなんか堅苦しい。俺だってスーツなんか着たくない!」なんて駄々を捏ねるぐらい自由な人だ。
イヤフォンを両耳にして、だけども何も聞かずに家を出た。鍵を閉めて歩き出すまで、ほぼ放心状態でまだ頭がぼんやりしている。きっと、布団と枕が俺を恋しがっているに違いない。今夜も早く帰りたい。
駅近になると、人々の声が嫌に耳につく。だからといって、世間の声を聞かない事は、非常にもったいない事だ。意外と、仕事に役立つことが落ちている時がある。だから、俺はイヤフォンはするがスマホからの音は聞かない。
改札を抜けて、ホームに着くと、いつも通りの穏やかな毎日が始まる気がした。
最初のコメントを投稿しよう!