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「いらっしゃいませ」 重い扉を押すと、中から声が聞こえてきた。 店内は驚く程質素だ。 「今日は何をお探しですか?」 「この店で一番高価な夢をください」 刃のような鋭い目つき。 穏やかだった空気感が一変、身動きが取れない程の緊張感がまとわりつく。 「残りの人生……命を対価にします」 見定めるかのように足先から頭のてっぺんまでじっくり見られている。 「わかりました。その条件でいいです。その代わりこの先、あなたに自由はないです。そんな夢ですがいいですか?」 「……はい」 どうせ死ぬつもりでいた。 だから最悪、逃げてしまえばいい。 そう考えていた。
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