都市伝説

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中島はタブレットでTwitterを開き、トレンド一覧を表示させた。今話題の芸能人や、ジャンクフード新商品に紛れて“#都市伝説”“#いらっしゃいませ”“#噂話”があった。 「おいおい、マジかよ……」 「まぁまぁ、まだタグがあっただけで、内容見てないよ? そういう遊びが流行ってるのかもだし」 松村は塩キャベツを食べながら言う。しかし彼女はよく食べる。 「そうだな……」 中島は“#いらっしゃいませ“のタグをタップした。 「どれどれ……コンビニ行ったら若い女の子がいらっしゃいませ言いながら品物並べ替えてる、スーパー行ったら中年女性がいらっしゃいませ……」 他のツイートも、似たようなのばかりだ。 「んー、なんか色んな人がよく利用するお店に出るっぽいね」 美保が少し考えてから言う。 「でも、ショッピングモールの情報少なくない?あれこそ色んな人いるっしょ」 「ショッピングモールだといろんなお店あるけど、食品ある所以外ほとんどみんな小さい店だし、それぞれ客層分かれるじゃん? それにショッピングモールなら、本屋さんとスーパーに目撃情報あるっぽい」 松村は焼き鳥の串で、ショッピングモール目撃情報のツイートを示す。 「あ、確かに」 「とりあえず都市伝説のタグも見てみよ。いらっしゃいませと一緒に使われてるツイートもあるし」 「分かった」 中島は#都市伝説をタップする。 “最近話題のいらっしゃいませ人。一昨日親戚の人がその人にガン見されていらっしゃいませ言われたとか。今日亡くなりました。なんだか怖い” 作り話にしてはやりすぎだと荒木が思ってると、隣から小さな悲鳴が聞こえた。美保だ。 美保を見ると、彼女は顔面蒼白で口元を押さえている。 「おいおい、どしたよ? 」 荒木が声をかけると、美保はぷるぷると震え、首を横に振るばかりだ。 「もしかして、いらっしゃいませ人にガン見された? 」 中島は恐る恐る、美保に聞く。 「そうなの……。おばさんがじーっとあたしを見ながら、いらっしゃいませって……ニヤニヤしてたし……」 「まぁまぁ、あくまでも都市伝説だし! そのおばさん、きっと美保ちゃんが可愛いから嫉妬して気味悪がらせようとしたんだって! 」 安田がわざと、明るい声を出して言う。
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