プロローグ

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どこからだろう……花のような、甘く爽やかな薫りがする。 蝶が花に引き寄せられるように、心が……体が惹き付けられる。 どこから漂ってくるのかわからないのに、足は薫りに誘われるがままに動く。 歩き続け、多くの花が咲き乱れる温室にたどり着いた。 花の香りに混じって、俺の心を離さない芳しい薫りはある一人の男から強く漂っていた。 どうして彼から漂ってくるのか、わからなかった。 けれど、わかることがある。 俺はどうしようもなく、この薫りに囚われていること…… 陽の光を浴びて煌めく、柔らかな白銀の髪。憂いを帯びた横顔に花を愛でる指先はスラリとしていて陶器のように白い。 その全てに目が離せなくなっていた。 ようやく人の気配を感じただろう彼は視線を向けて、俺に問いかけた。 「君が"僕の番"?」
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