第三話 プロ作家志望

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ふと、馬鹿馬鹿しくなった。そんなお呪いなんぞに手を出す事自体、自分でその夢は 不可能だ、と認めた事に等しい。そんな事で夢を叶えても、自分の実力では無い。 嬉しいのは最初だけで、ほとぼりが冷めた頃には虚しさしか残らないだろうと思った。  待ち受け画面を消去。ルーンも解説書も処分した。そしたら数日後、仲間達は一気に 回復。復帰した。もしかしたら単なる偶然かもしれないが。麗美はもう、その都市伝説 には興味が無くなっていた。  いいじゃないか。例え一人でも、読んで貰える読者様さえいたら。考えてみたら、 凡人のどこが悪いのだろう? 世の中ほとんどが凡人なのだ。凡人によって世界は 形成されていると言って良い。 「凡人最高にして最強!!」  麗美は完全に開き直った。楽しんで書こう。一人でも、伝えたい思いが響けば良い。 そして思う。  未来は誰にも分らない。裏を返せばそれは『可能性は未知数』であるとも言える。 人は、自分次第で未来は変えられる、と思うからチャレンジするし、頑張れるのだ。 最初から未来が決まっていたなら、誰も頑張ろうとしなくなるだろう。  麗美は今日も楽しんで書き綴る。日の目を見ても、日陰のままでも。まだ見ぬ 先の事を不安に思うより、今を大切に精一杯生きよう。  改めて感じた。自分はただ、書く事が好きで、書ける事さえできれば幸せ なのだ、と。
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