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店に入ると、思い描いていた通り暖かい空気が私を迎えてくれた。
「いらっしゃいませ」
お客さんは私だけで、店員さんとモロに目が合ってしまった。
小さくお辞儀をすると、彼の接客用の微笑みが深まった。
何だか照れくさくて、視線をそらして入口近くのトレーとトングを取る。
いつもは人気なのに、自分だけだなんて珍しい。そう思って時計を確認すると、もうすぐ閉店時間だった。
随分長い間公園に居たみたいだ。全く覚えていないが、そんなにも長いこと何をしていたのだっけ。
ちらりと頭に過ぎった5番目のアルファベットを、ため息で吐き出して、カチカチとトングを鳴らす。
今の私はハンターだ。好きなものを、好きなように取る。明日の朝の分まで、食べられるだけ選び放題なのだ。
「何にしようかな」
わざと声に出して、まずはクリームパン。
他には、と視線を巡らせると、目当てのメロンパンの横に、新商品と煽りのついたトレーがあった。勿論私は――パンハンターは、逃したりしない。
メロンパンと一緒にそれもトングで掴む。
これで、三個だ。
でも、と考える。一つぐらい、しょっぱいパンがあってもいいのではないか、と。
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